いびきと深いかかわりがある無呼吸。10秒以上呼吸が止まる状態です。
この無呼吸状態が睡眠中に、1時間/5回以上、あるいは7時間/30回以上
ある場合が睡眠時無呼吸症候群と定義されています。
SASの人は一晩中、呼吸と無呼吸を繰り返していますが、
上気道が狭窄しているため、酸素不足でだんだんと苦しくなってきます。
そして、ついに脳が覚醒して無理矢理に呼吸を再開させようとするんです。
脳が覚醒すると弛緩していた筋肉が緊張するため、呼吸しやすくなるからです。
通常、SASの人はこうした脳の覚醒を短い周期で繰り返すため、
脳は十分休めていません。
日中に強い眠気や倦怠感を感じてしまうのはそのためです。
(関連記事 ⇒ 眠ったのに体がダルい...いびきは脳の疲労シグナル)
薬で無理矢理眠るのは危険なSAS
不眠症(睡眠障害)には「入眠障害」「中途覚醒」「早朝覚醒」「熟眠障害」の
4つのタイプがありますが、SASの症状として現れるのは主に中途覚醒です。
通常、うつらうつらしているため、自分では脳の覚醒に無自覚ですが、、
はっきりと目が覚めてしまう場合は中途覚醒と呼ばれます。
低酸素から脳の覚醒を招き、目が覚めてしまう訳ですが、
一度目が覚めると、その後なかなか寝付けないという人が多いようです。
眠れたとしても、また苦しくなって目が覚め...と
一晩中繰り返す人も珍しくありません。
SASからくる中途覚醒を治すには、SASの治療をするしかありませんが、
怖いのは自分でSASだと気付いていない人です。
夜中に目が覚めるのは誰でも嫌ですから、何とか対策を...と、
最初に試すのは恐らく睡眠導入剤でしょう。
今は海外通販で作用の強い睡眠薬も安価で手に入る時代ですから、
わざわざ病院で処方してもらうまでもありません。
しかし、睡眠導入剤は筋弛緩作用のあるものが多いので、
さらに上気道を狭窄させ、取り込む酸素の量を減らすことになります。
しかも、薬の力で眠らせる訳ですから、低酸素の状態になっても目が覚めず、
ますます低酸素血症を悪化させることになるんです。
血中酸素濃度が低くなると、脳への酸素供給や血流も滞るので、
脳血管障害のリスクもグン!と上がってしまいます。
夜中に何度も目が覚める。しかも睡眠中に大きないびきをかく。
という人は、不眠症よりもまずSASを疑ってみて下さい。